DIALOGUE W. YASUMASA YOSHIDA

吉田泰昌はクレパスで身の回りにある物や動物を描くアーティスト。京都生まれ、奈良育ち。中央大学法学部を卒業後、絵を描き始める。クレパス(オイルパステル)による「生命」の表現に魅了された後、木の板にクレパスという手法で独自の表現を追求するようになる。木の板(MDF ボード)にクレパス(オイルパステル)で直接描くという独特の描画スタイルで、生き生きとしたタッチと独特な色使いで「もの」の持つ生命力や躍動感を表現している。

 yasumasa yoshida drawing papers

 

DIALOGUE W.

 

アーティスト:Yasumasa Yoshida (Y)

参加メンバー:M & S

 

M 作品のコンセプトついて聞かせてください。

 

Y 気持ちをぶつけてる感じがします。普段生きててすごい嫌なことがあったり、逆に嬉しいことがあったりしたらそれをちょっと載せていく。発散ですね。僕、あまり外に発散する人間じゃないんですね。だから嫌なことがあっても人にバーッて言ったりとか、大きい声で怒ったりとかそういうことがなくて。内にモヤっとするものを絵にぶつけてスッキリするっていうのもあります。癒しですね、絵を描くっていうのは。

 

M 目の前に飾られている吉田さんの絵を見ているだけで既に癒されています。

 

Y そうですね。お買い上げいただいた方からすごく癒されたと言ってくれます。自分自身も癒されたいんですね。絵を描くことで良くなっていきたいというか。

 

M 絵を描き始めたきっかけについて教えてください。

 

Y 小学校の時に地元のプロに習っていてそこからずっと描いていなかったですね。大学卒業して何もやることがなくて、ふと思い出して絵を描こうとなって。描いていると自分自身が癒されるんですよ。東京に行って精神がしんどくなって戻ってきて使い物にならなくなっていたんですけど、プロでやるとかそんなの関係なしにとりあえずなんかやろうということで始めました。

 

S 小学生の頃にもクレパスを使っていたんですか?

 

小学生の頃は油絵を教えてもらってて。その時に絵をやっていたのもあって、始める時にあまり壁がなかったからそれはよかったのかな。

 

yasumasa yoshida oil pastel

 

M 絵を描くときに一番大切にしているものってなんですか?

 

Y 色と形ですね。構図とかがストンと入るバランスというものがあって、それが絶対に外せないかな。あとやっぱり色ですね。色の組み合わせ。同じ色でも形が違ったら合う色が全然違ってくるんですよね。

 

M 動物と物は描きたい時に描いているんですか?

 

Y 頭の中にふと思い浮かぶ時があって。それがないとなかなか描けないです。微調整はしているけど、大体頭の中でイメージ通りにやるのが僕のやり方です。

 

S 黒が多い印象ですけど、不思議とそこまで重く感じないですよね。

 

Y 少しデフォルメしているんですよ。チンアナゴにしても少し可愛らしくしていて。わからないラインでデフォルメをしています。

 

yasumasa yoshida painting chinanago

 

S 下書きはしますか?

 

Y 下書きはほとんどしないです。同じものを描いてって言われるとしんどい時はあります。同じクオリティーで描こうとするのは難しいです。

 

 

yasumasa yoshida paintings all

 

S 確かに、そちらのピンクのアーティチョークの背景も同じ色合いを出そうとしたら難しそうですね。

 

Y そうですね。この作品は全然発表していない時期の作品ですね。その当時は全然見せていなくて。内にこもっているものを表現するっていう意味で名前(イニシャル)が大きくなっています。

 

yasumasa yoshida painting search

 

M 大学の頃の話に移りますが、法学を専攻した理由とかきっかけって何かありますか?

 

Y 何もなかったですね。法学部に行けば何かつぶしがきくんじゃないかって考えていったんですよ。将来のことは全然考えてなくて。将来のことを考えるほどポジティブな人間じゃなかったんです。先のプランとか家庭を持ってとか仕事してとか全然考えてなくて。でも今は色々と考えられていていい感じだなって。

 

M 大学を卒業をした後、絵を描き始めたのはどのぐらいのタイミングでしたか?

 

Y 結構かかりました。5年くらいかかったと思います。5年間ほどんど何もやってなかったんですよね。仕事もできる状態ではなかったと思います。今だと講座とか色々と持って生徒さんに教えたりできるんですけど。そういうことも段々できるようになってきたんですけど当時はもうしんどくて。どうしていいかわからなくてとりあえず全く何もしないのは良くないから、1ヶ月1枚でもいいからとにかく絵を描こうということになって。始めたのが今から15年前とかでした。

 

M 1ヶ月1枚でスタートして今に至っているんですね。

 

Y 絵を描いていくことで僕の人生が立て直されてきたと思うんですよ。家族との関係性もそうですし。色々友達もできてきたりとか。

 

S 当時は楽しいから描き続けていましたか?

 

Y いえ、その当時は楽しいからっていうよりしんどいから描いていました。しんどくてそのストレスを発散するのに描いていました。今は純粋に楽しめたりするんですけど。

 

S その当時に描いていた絵とかお持ちですか?どういう絵を描かれていたんですか?

 

Y あります。ちょっと荒れている色とか線とか。大分前に描いた蝶とかもあるんですけど。

 

yasumasa yoshida butterfly

 

S やっぱりちょっと重い感じがしますね。

 

Y 内にこもっているものがこれだけ黒い感じだったんだと思います。

 

S 同じ蝶でもこんなに違うのは面白いですね。すごく迫力があって。

 

Y 当時って誰かに言ったりするのが難しくて。自分がしんどいですって他人に伝えるのが難しい状態で。

 

M 今でもそういう言いづらい風潮は変わらないですよね。

 

S それに今だとネットとかで誹謗中傷とかがあるから違う辛さがありますよね。

Y ありますね。

 

M あとはコロナでぶつけるところがなくなってしまった人とかストレスの発散が行くべきところではないところに向けられてしまっているような気もします。

 

Y  そうですね。何かここら辺でもイライラしてる人多いです。歩いててやっぱりそう感じます。僕、毎日歩く習慣あるんですけど多分僕自身もそのうちの1人だと思うんですよ。すごい細かいことに気を取られて。「あ、あの人マスクしてない」とか。それでちょっとイラッてしまったりとか。やっぱり僕自身イライラしているんだと思います。なんだかんだ言って。

 

M 創作をすることでストレスを発散できるということは大事ですね。

 

Y そうですね。自分自身の負の感情を消化させるとか。それが一つの方法だよっていうのは伝えたいですね。破壊衝動が強い人とか暴力衝動とかそういうものを絵に描いたら、実際には誰も傷つかないじゃないですか。そういうふうにして表現する方法もあるんだよっていうのは伝えたいですね。納得いかないこととかどうしても腑に落ちないことを絵にして表現するとか。

 

yasumada yoshida painting floor

 

M 大切にしているルーティーンってありますか?

 

Y 作品を描くのは朝が多いです。起きた瞬間って一番余力があって頭もしっかりしますし、そういう時に描いてしまうのが多いですね。あとは健康にすごく気を使ってます。毎日絶対歩きますし、自炊もきちんと3食とって。ちょっとした差があるんですよ。落ち着くっていうか心が。夜寝てきちんと朝起きるとやっぱり創作がはかどって。

 

M いいですね。アーティスト= 夜型で少し不健康みたいなイメージがありますけど健康でいるって大事ですよね。

 

Y 僕はそういうアプローチですね。自分の生活とか気持ちとか身体を整えて描いていくっていうのが。

 

yasumasa yoshida painting corner

 

M 吉田さんは人物像をあまり描かれていない印象があります。

 

Y (描いたことは)あるんですけど、極端に少ないです。やっぱり僕にとって人間は強すぎるのかもしれないです。情報量が多すぎて。向こうの方が僕に対してどう考えているのかとかを絵に描こうとしてしまって。やっぱり動物の方が楽ですね。

 

M それもあって吉田さんの絵に癒されているのかな。鑑賞している側も人間が出てこないから。(笑)

 

Y 本当にね。うちの子(ペットのもこ)もすごく許してくれるんですよ。ちょっとイライラしている時にじゃけんにあつかった時もすぐ許してくれるし、本当に無限の愛ですよね。僕、猫を飼い出して人生が大分変わりましたね。猫を飼ったら責任が発生してしまうので、自分自身何かやっておくだけでは駄目で。猫のことを考えたら、きちんと夜寝て朝起きていることを自然とできて。何か変なもの食べて誤飲とかしたらあかんから、その辺を綺麗にしたりとか。

 

M 猫とか犬って本当に癒されますよね。それに比べて人間って複雑すぎるところがありますよね。(笑)

 

Y だと思います。だって猫とか犬とか言葉喋れないのにコミュニケーションとってるじゃないですか。本当は必要ないのかもしれないです。

 

M 描くときも人間には要素が多すぎるっていうのは見た目の話だけではないのが面白いですね。

 

Y 人間は情報量が多すぎるようですね。なんていうか僕に向けられた感情とかも全て描こうとしてしまうんですね。

 

yasumasa yoshida cat

 

M 吉田さんはインスタグラムの発信力がすごいですよね。

 

Y インスタグラムでワークショップをやりますっていうと、申し込みいただいたりとかして。猫の赤ちゃんの里親さん探しの時とかにインスタグラムで見つかったりしたこととかあります。

 

M それはすごいですね。あと吉田さんのインスタのストーリーの数もすごいですよね。(笑)

 

Y そちらはもうお遊び的な感じになってます。(笑)

 

S 親近感がありますよね。堅苦しくなくて。自分もできるかもって勇気をもらえそう。

 

Y そうですね。続けてるからなんだと思います。特にすごい才能があるというわけじゃなくて。続けてそのうちできるようになったみたいなこともありますね。

 

S 吉田さんには才能がおありだと思います。(笑)

 

Y だといいんですけどね。(笑)本当は親とかちょっと悲観してましたからね。でも絵を描くことに対してはすごい進めてくれました。この子がまともに社会にでていくのは絵しかないんだろうとかっていうのが親はわかっていたからすごい応援してくれました。だから母親とかも今すごい喜んでくれて。今だから教えられたんですけど、母親が僕の話をする時にちょっと泣いてたらしくて。この子どうやって生きていくんだろうって。だから今はすごくよかったと思います。それだけでも。

 

M 吉田さんの話を色々な人に聞いて勇気をもらって欲しいなって改めて思います。

 

Y その気になったらできると思うんですよ。僕28歳まで引きこもってたんですよ。もっとしっかりした人からしたら28歳まで引きこもっている人間なんて人生終了みたいに思われてると思う。ネットだとそういうふうに叩かれると思うんですよね。でもそんなことないよみたいな。そこからでもその気になったらできるよって思うんですよ。

 

 

Y (続)絵を描くのは好きなんだろうなって。じゃなかったら多分やめてると思うんですよね。すごく嫌なこと言われたりとか。そういうときでも描き続けるっていう。すごくいじわるなことを言われたりするときはあるんですよね。

 

M 嫌なことを言われたときはまた描いて発散?

 

Y それはありますね。何か見返してやるっていうか。それ以外にやることがないって言ったら変な言い方なんですけど。やっぱり絵を描きますね。

 

yasumasa yoshida drawing yebisu

 

 

S これを描きたいって思って絵を描くんですか。それとも今日は何を描こうかなって題材を探すという感じですか?

 

Y どっちもあります。本当にこれを描こうと思って描きたくてしょうがない時もありますし。数をこなすときに題材を探したりする時もあります。

 

S 後から修正したくなったりとかはないですか?

 

Y あまりないですね。流れで描いているところがあるので。

 

 

Y なんか描いていると、子供の頃をすごく思い出します。僕運動とか勉強とか全然駄目だったんですよ、本当に。勉強も全然ついていけないしスポーツも全然駄目だし。でも絵だけ上手で。それだけでしたね。それが子供なりにすごく嬉しくて。自尊心みたいなものなのかな。もしかしたら、今も同じことなのかもしれないです。絵を描くことで自分自身が許せるというか。多分そういうことなんだと思います。

 

yasumasa yoshida close up drawing face

 

Fin. 

 

吉田泰昌

 

吉田泰昌はクレパスで身の回りにある物や動物を描くアーティスト。京都生まれ、奈良育ち。中央大学法学部を卒業後、絵を描き始める。クレパス(オイルパステル)による「生命」の表現に魅了された後、木の板にクレパスという手法で独自の表現を追求するようになる。木の板(MDF ボード)にクレパス(オイルパステル)で直接描くという独特の描画スタイルで、生き生きとしたタッチと独特な色使いで「もの」の持つ生命力や躍動感を表現している。

 

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DIALOGUE WITH. はアーティストとの対話の記録です。
作品やプロフィールのみでは知ることのできない、アーティストの素の姿。気さくな対話から生まれる思いがけない話をお楽しみください。